ごあいさつ

開発研修センターの特色を大事に

 このたび、2021年6月の定例総会で小池恒男前会長のあとを継いで会長理事に就任いたしました。長い歴史を持つ農業開発研修センター会長理事として、身の引き締まる思いです。会員、会友のみなさまとともに、農業、JAの直面する課題解決に貢献できればと思います。
 本センターは、昭和42年に当時の桑原正信京都大学教授を初代会長理事として、農林省所管の社団法人として発足しました。その後、公益法人制度改革にともない、平成25年4月に一般社団法人に移行し、現在に至っています。本センターはJAグループを中心とする会員及び会友によって構成され、地域農業の振興と農村社会の活性化、JAの改革・発展に貢献することを使命としています。
 本センターの特色の一つは、農業と農協の現場に近い活動を基本としていることです。本センターは京都に所在していますが、桑原初代会長が「上り列車を仕立てる」と表現されたように、地方の声、地方の実情を踏まえた調査研究と政策、改革発信を今後とも重視したいと思います。
 もう一つの特徴は、大学関係の研究者との連携です。調査研究活動や支援診断事業、各種研修会の開催などにおいて、現場と研究者との橋渡しをしながら、問題の解決と同時に農業、農協研究の発展を支えることを旨としています。これらの特徴をあらためて確認し、活かしながらすすめていくことが重要と考えます。

「会員ニーズ」に答える

 次に、新会長理事として当センターの「原点」に立ち帰りたいと考えます。第一の原点は、会員、会友のニーズや期待に答えることです。当センターはいわゆる「公益法人」として出発し、社会的役割を果たすことをその使命として発足しました。しかし、会員にとっては、本センターに参加する会員は、農業やJAをとりまく厳しい環境のもとで、それぞれが解決すべき具体的な課題に直面し、その解決に向けて、何らかの支援や示唆を本センターに求めておられることと思います。当センターの「公益性」を大事にしながらも、会員が抱える共通の課題、さらに個別的な課題やニーズに応えることを、本センター運営の中でより重視し、その分野での事業強化に努めていきたいと考えます。

今こそJAに求められる「研究・開発」

 もう一つの原点は、本センターの名称にある「開発」と「研修」を、あらためて確認し、その必要性を確認するとともに、その内容を充実することです。センター名の英文表記では、「開発」はdevelopment とし、「研修」は training としています。また、本センターの定款は、「地域農業の振興や農業協同組合に関する調査研究及び調査診断」、「農業指導者、農業関係機関・団体役職員等の人材育成」を目的としていますが、前者が「開発」、後者が「研修」に対応するものです。
 まず「開発」についていえば、現在ほどそれが求められている時代はないと思います。一般の企業でいう“R&D”(Research and Development 、研究開発)の必要性です。あらためて調べたところ、本センター開設当時、全国に実に7,000余の総合農協がありました。その数は現在10分の1以下に減少しました。逆に言えばそれぞれの農協がきわめて大型化したということです。それは、それぞれの農協に独自の経営戦略や経営判断が求められるようになったということです。地域の農業や経済の実情を踏まえた適切な対応が経営者に求められています。しっかりした現状把握と方向付けのために、調査や研究が今まで以上に求められていると思います。
 また、JAの事業や組織にしても、それをとりまく環境は大きく変化しています。従来のやり方を踏襲するだけでは、将来像が描けません。新たな事業開発や組織づくり、経営改革など、新たなチャレンジが、今ほど求められていることはないでしょう。研究開発という点で、JAと連合会をお手伝いすることで、本センターが貢献できることは多いと考えます。

“人財”育成のお手伝いを

 次に「研修」についてです。「人材育成」の重要性はいうまでもありません。人材育成については、JAグループでも各分野、各段階で取り組まれています。その中で、本センターでは、単なる研修会でなく「研究会」と称して、問題に現場で関わり、また関心を持つ人たちが集まって、経験交流をしながら課題解決の方向をともに学び、探る方法を重視してきました。こうした視点を大事にしながら、今後、JA役職員教育に貢献する新たな取り組みを進めていく所存です。
 本センターの趣旨をご理解いただき、より多くの関係者に会員、会友としてご参加いただくことをお願いするとともに、今後とものご支援、ご協力をお願いする次第です。

 

 令和3年6月